ポケットと言えば、寒いときに手を突っ込むことを連想する。その時、一人でいれば背中を丸めて、二人でいれば相手の手をとって。どんなことを連想するのか、何を思い出すのか。それは、きっと人それぞれなのだろう。そして、それはその人だけの物だから、そっとしておくのがいいのかも知れない。大切に、大切に、誰かのためのポケットを持っていますか? 君は、君のための誰かのポケットを持っていますか? 手を繋いで、繋いだ手を放さないで、いつまでもいられますか? きっと、永遠なんてあるはずもなくて、いつかは別れ別れになってしまう。そして、また別の人と手を繋いで、別の人のポケットで。一人で生きていくことなんて、できないのだから... そうだ、旅に出よう。ひとりで、自分だけの手をポケットに入れて。バイバイ、バイバイ、君の手を握ったのはいつのことだろう。もう、忘れてしまった? ぼくは、忘れたつもりでいる。いつも、思い出さないように。だから、誰とも手は繋がない。ポケットは、いつも自分の手だけ。背中を丸めて、歩いていこう。少しくらいの雨なら、濡れたってかまわない。ポケットに手を突っ込んでいれば、温もりはいつもそこにある。忘れたつもりだけど、ほんとは覚えている。忘れられるはずもない。でも、ポケットの中は誰にも見えない。心の中は、誰にもわからない。だから、ポケットに手を突っ込んで。 なんて、ちょっとセンチになって。さて、あなたのポケットは? 誰かと『手』を繋いでいますか? |