大学に入ってから、ダイビングを始めた。一応音楽青年だった私は、軽音楽部に入部した。しかし、同じ学科の友人が、「おい、おもしろそうだから、星泳会と言うのに入ろう!」と誘われた。なんだかよくわからないが、掘っ建て小屋の集まりような所へ連れて行かれ、ドアを開けるとなにやらうさんくさい感じだったことを今でも覚えている。 その当時はB類と言う夜学に私は通っていた。新しい学生会館もできていたが、戦後建てたバラックのような部室も夏近くまで残っていたのではなかろうか。私が友人に誘われたサークルは、一応水泳部である。夜の授業が終わってから泳ぐので、『星泳会』と付けたらしい。しかしその実、泳ぐよりも酒を飲んでいる時間の方が圧倒的に長いサークルで、4月か5月には何故か新歓登山と言うのがあった。この辺の話をしていると「大瀧詠一」に届く前に字数制限を越えてしまうので、『星泳会』の話は次回へ取っておこう。 ダイビングは、その『星泳会』で部費獲得のために活動の一つとして新たに始めることになったのである。何せ、水泳では水着・バスタオルなど、予算のかかるものはない。が、サークル連合と言うところから予算をぶんどって来るには名目が必要である。でダイビングとなり、「おまえ行け!」と命令されたのであった。 ここでようやく「大瀧詠一」の話になる。一番印象に残っているのは、小笠原の父島に3航海(16〜7日)行っていた夏のことである。今はなき「和田ちゃん」と大社長になった「長」の3人でのダイビング三昧であった。この時に持っていったカセットに『A LONG VACATION』が入っていた。ある意味、我ら世代の永遠のバイブルであると言っても差し支えないほどの名アルバムだ。夏と海には欠かせないアイテムで、とにかくのんびり気分にしてくれる。松本隆の詞もとてもいいのだ。このアルバム一枚で大瀧詠一の全てが語られるわけではないが、あとは「Each Time」位にしておいた方がよいだろう。陰に隠れた迷作はいろいろあるのだが... |