My Favorite[2003/09/28・Vol.04 佐野元春]




信じる心、いつまでも...

 朝、小田急線で多摩川を渡るとき、いつも口ずさんでしまうのは「Some Day」である。もう、かれこれ25年ほど前の歌である。この歌を歌うと、元気が出るという中年も多いはず。フォークからいつの間にかニューミュージックと言われる音楽になり、その旗手はサザンやユーミンではなかったろうか。そんな中で、ガンガン殴られたように心に響き渡ったのが、佐野元春であった。もちろんバラードや暗い感じの曲もあるが、全体にアップテンポで元気の出るものが多い。アコースティックと言うよりもエレキでガンガンと言う感じ。当時、ヘッドフォンを付けてうなっていた私に妹は、「お兄ちゃんは頭がおかしくなったらしい」と言っていたそうな。
 さて、「ナイアガラトライアングル」をご存じだろうか。Vol.1とVol.2があって、有名なのはVol.2の方だろう。いずれも大瀧詠一が主催であって、Vol.1は「伊藤銀次」と「山下達郎」。Vol.2は「佐野元春」と「杉真理」。佐野元春の音楽は、海外の風を感じさせてくれた。洋楽っぽいのりと言葉。それらが新鮮で、とても新しく思えた。例えば、「ジャズのシャワーで洗い流して」とか、「燃える夜を貫いて」とか。まだまだ、青春を思い起こさせるものがある。
 「自信」という言葉があるが、これは決しておごった心でなく、自分を信じられるかと言うことなのかと最近思う。自分が信じられなくなったら、全てのことにうまくいかなくなる。でも、今「自信があるか?」と聞かれたら躊躇なく「ある!」とは答えられない。揺るがない「信じる心」は、いったいいつになったら確立できるのだろう。いくつになったら、「自信などありませんよ」とゆったり答えられるであろうか。
 きっと遠い道のりの人生は、まだまだ休むわけには行かないのだろう。時には、悲しむことも必要だろう。しめった気持ち、潤いのある心、湿度のある人との接し方。乾ききった時代と言われる今、信じる心をいつまで大切にできるだろうか。