週間美術館[2004/02/01・Vol.03 Klimt & Schiele]





世紀末の狂気か、官能か...

  グスタフ・クリムト[Gustav Klimt]は、1862年にウィーン郊外に生まれる。19世紀の後半と言えば、ハプスブルク家が栄華を極めた時代である。とても華やかであり、妖艶であり、退廃的とさえ言われる。その画家は新しい芸術運動の中心となり、王様とさえ呼ばれ、わずか26歳の時、勲章さえもらう天才であった。彼は、1902年に大作「ベートーヴェン・フリーズ」を発表する。第一章「幸福への憧憬」では『幸福を求めて旅立つ戦士』を描き、第二章「敵対する力」で、『悪・病・死』など人間の行く手をさえぎる苦悩、第三章「歓喜」に至り『芸術による人類の救済』を高らかに謳った。その最後に描かれたものは、裸で抱き合う男女の姿である。
 そんな天才に惹かれ、師事したエゴン・シーレ[Egon Schiele]は、1890年に生まれている。ぎこちなささえ感じるような画風は、暗く重たい。掴みかかってくるような、凶暴な男の瞳、エロティックに足を開いた女。しかし、彼は流行のスペイン風で28歳で人生の幕を閉じる。その短さが、よけい彼のを絵を引き立たせているのではあるまいか。