画家再発見[2002/05/23・Vol.06 Gogh 4]




ゴッホの黄色と、ピカソのブルー...

  自分の中で、ピカソとゴッホは対照的だ。ピカソは、90年の人生の中でいろいろな画風の時代があるが、「青の時代」は有名だ。確かに友人カサヘマスの死など、多感な年代に悲しみを表現していた時代ではあるのだろう。だが、そのブルーの向こうに生命力を感じるのは私だけではあるまい。何故だろう? 上の絵は「青の時代」の自画像であるが、透明な悲しみが伝わってくる。しかし、そこには儚さとか、これでおしまいという感じはない。この自画像にすら生命力を感じるのである。
 一方、ゴッホは青と黄色の狂宴という感じであるが、その向こうに生命力を感じない。あれだけ強いタッチの筆遣いであるのに、儚さを感じるのである。そして、ゴッホ37歳で人生を閉じるのである。
 ゴッホの写真を見たことはないが、ピカソの写真は晩年まですざましい目をしている。生命力がその目からあふれ出しているようだ。それに対して、ゴッホの絵や手紙は魂の悲痛があふれているような気がする。そして、ゴッホの絵とすぐの誰でもがわかる時代は、ほんの数年なのである。その間の作品の数は膨大だ。ある短い時間に、全てを出し尽くしてしまったのではないだろうか。命を燃やし尽くして絵を描き続け、ついには自分自身が燃え尽きた男、それが僕の中のゴッホである。