画家再発見[2002/05/13・Vol.06 Gogh 3]




黄色と青の共演は、狂炎となり、やがて悲しみを誘う...

  ゴッホの色のイメージは、黄色と青である。黄色から連想するものは、太陽、ひまわり、夏など明るく健康的なものが多い。一方青は、海や空など透き通った印象がある。
 ゴッホ場合どちらの色も強烈だ。挑みかかるような黄色とでも言うのだろうか。もちろん筆のタッチのせいもあるだろう。しかし、これが赤やオレンジではなく、黄色であるのに力強さを感じる。そんな画面的なこととは反対に、伝わってくるのは悲しみなのだ。相手に自分を伝えられないもどかしさなのだ。どうしたら、この気持ちを表現できるのだ! 絵がそう叫んでいるように感じるのは、僕だけだろうか。
 岐路の中央に建つ、ゆがんだ教会。自分は、一体どっちの道を歩んで行けばいいのだ。左下の女性は、母だと言う説もある。そのまま、導かれて左へ行こうか。しかし、教会の背後の空は、なんと言う青だろう。全てのものを拒絶するように見えないだろうか。手前の道が明るい分だけ、背後の空は青くくらい。たとえ教会で懺悔をしても、その先へはたどり着けないようだ。
 こんなふうに感じる僕の心は、病んでいるのだろうか。いや、心が病んでいない人なんて、いないのではないだろうか。鬱屈とした雨の日に、ゴッホの世界へ引きづり込まれていく。