ガラスの猫 Vol.11[2006/12/28]





ぼくは、恋をしたよ...


ぼくはネコ。
ガラスで造られた猫。

ぼくは、恋をしたよ。
ガラスの猫の分際で、なんて言わないでね。
だって、とってもかわいいんだもん。
ぼくが生まれてから出会ったなかで、いちばん綺麗なヒト。
いつも憧れているんだ。
でも、ご主人様はふり向いてくれない。
ぼくがヒトになれたとしても、相手にしてくれない。
わかってるけど、淋しいなぁ...

ぼくは、恋をしているよ。
すてきなご主人様に。
かわいいご主人様に。
きれいなご主人様に。
でも、想っているだけでいいんだ。
遠くから見とれているだけでいいんだ。
だって、ぼくはガラスの猫だもの。
なんにもできないんだもの。
ご主人様を守ってあげることもできない。
それでも、恋してるんだ。
誰にも言わないけど、恋してるんだ。
ぼくが、自分一人で好きでいるのは自由だよね。
遠くから見ているなら、ご主人様も許してくれるよね。
それも、ダメかな...

ぼくはネコ。
ご主人様は、とってもかわいいヒト...