ガラスの猫 Vol.05[2006/11/14]



ある日、僕はユメを見た...

 僕はネコ。ガラスで造られた猫。

 ある日、僕はユメを見た。
ご主人様が、窓のない部屋に閉じこもってる。
ドアもなくて、僕はどうしたらいいかわからない。
コンコン、コンコン、ご主人様、どうしたの?

 ある日、僕はユメを見た。
ご主人様は、窓のない部屋で小さな子供になってる。
見えなくたってわかるんだ。
僕は大きなネコになって、壁をたたく。
コンコン、コンコン。

 ある日、僕はユメを見た。
小さな部屋のドアを見つけたョ。
なんども、なんどもノックするョ。
ご主人様がでてくるまで、コンコン、コンコン。

 ある日、僕はユメを見た。
ご主人様が、小さなドアから顔をのぞかせている。
ちっちゃな、ちっちゃな女の子。
大きかった僕は、だんだん小さくなっていく。
ご主人様と同じくらい小さくなって、微笑みかける。
びっくりしたご主人様は、やがて笑い出した。

 そう、出ておいでよ。
僕と遊ぼうよ。

 僕はネコ。ご主人様は、とってもかわいいヒト...