ガラスの猫 Vol.03[2006/11/03]



ぼくにもキスしてよ...

 ぼくはネコ。ガラスでできたネコ。

 ある日、ご主人さまは難しい顔をしている。
何を考えているのだろう?
ぼくにも話してくれればいいのに。
ぼくなんかに話しても仕方ないと思っているのかな?
そりゃ、答えてあげる事は出来ないけど、
でも、聴いてあげられるよ。
もっと、もっといっぱい話しかけてよ。
ご主人様の話が聞きたいよ。

 ある日、ご主人様がベットに寝転がって本を見てる。
猫の本だ。ホントに猫が好きなんだなぁ。
ぼくはネコに生まれて良かったなぁ。
たまにはぼくも、かわいがってよ。
シマだけじゃなくて、ぼくにもキスしてよ。

 ある日、ご主人様は夜遅く帰ってきた。
ちょっと、嬉しそうだ。
彼とデートでもしてきたのかな?
ご主人様は美人だから、きっともてるのだろうなぁ。
ぼくが男だったら、ほっとかないのに。
きっと抱きしめちゃうよ。
でも、ぼくにはできない。
だって、ぼくはガラスの猫だから。

 ぼくはネコ、ガラスの猫。
ご主人様は、とってもきれいなヒト。