と彼女の Pale Ale [2006/07/01・Vol.04 麦わら帽子]



ちょっと意地悪に...

 ペール・エールを私が飲み干すと、彼は手を伸ばしてきた。
きっと、砂浜に誘おうとしたのだろう。

 私はサンダルを脱ぎ捨て、彼の手をすり抜けた。
一瞬の苦笑いを隠して、彼も浜辺に降りてきた。
波から逃げる。彼から逃げる。
波を追いかける。ちょっと意地悪な気持ちで彼を誘う。
そして、逃げる。

 ひとしきり追いかけっこをして、彼はテラスに戻った。
ちょっと意地悪しすぎたかな?
でも、もちろん彼は怒っていない。

 テラスに戻ると、彼は新しいペール・エールをグラスにそそいでいた。
のどの渇いた私は、彼の飲んでいたグラスを横取りする。
一息に飲んで、彼を見つめる。
彼は私の手首を軽く握って、引き寄せる。
もう少し意地悪しようか、それとも...