高橋克彦[2003/05/23・Vol.03 南朝迷路]





乾坤通宝、真言立川流...?


 先日読み終わったのが、「南朝迷路」と言う小説で、ご存じ「塔馬双太郎」が登場する歴史ミステリーである。隠岐−吉野−長野−青森を結び、後醍醐天皇の幻の「乾坤通宝」や「真言立川流」などが絡んでくる。とはいうもののそれぞれ初耳であった。「乾坤通宝:けんこんつうほう」とは建武元(1334)年三月に命名・鋳造された銭貨と言われているが、この乾坤通宝が流通したという形跡は無く実質的な実行力は無かったというのが一般的な解釈だ。一方、「真言立川流:しんごんたちかわりゅう」は、小説の225ページから詳しく語られている。興味ある方は、南朝迷路を読むか下記のHPをご覧ください。
 しかし「ゴダイゴ」と言う音は、僕らの世代ではバンド名の方が耳に馴染んでいる。いわゆる戦国時代くらいになるとテレビやら何やらで多少の知識はあるが、南北朝の時代は遙か昔でなじみも少ない。せいぜい、楠木正成の名前が浮かぶくらいであろうか。が、名前は浮かぶが、詳しいこととなると皆目分からない。そんな方でも、北方謙三の「破軍の星:北畠顕家」「悪党の裔:赤松円心」「武王の門:懐良親王」などを読むと結構楽しいのではあるまいか。
 さて話を南朝迷路に戻すと、この小説はまず隠岐である。隠岐とはどこかというと、島根県の松江から60Kmほど北にある島で、一番大きな島の島後[どうご]には空港もある。島前[どうぜん]の西の島には「摩天崖」がる。話は脱線するが、五木寛之の「晴れた日には鏡をわすれて」と言う小説にもでてくるところだ。ちなみに「雨の日には車をみがいて」と言う小説もある。今は磨く車もない私であるが...
 どうも話が脱線し勝ちであるが、なんと文字数制限の1000文字に近づいてしまった。この小説は「写楽殺人事件」などの浮世絵シリーズに続くもので、そのシリーズが気に入った方はぜひお読みくださいな。といったところで、残念なことではありますが、筆を《おき》ましょう。ちゃんちゃん!