夏の風物詩はいろいろあるが、水中花をご存じだろうか。 20年以上前に流行った歌謡曲「愛の水中花」を思い浮かべる人もいるかもしれない。 あのころの松坂慶子は美人だった。と言っても私は好きではなかったが。 この歌の作詞はなんと五木寛之である。当時は全く知らなかった。「変な歌!」とさえ思っていたのだ。 もともとドラマの原作が五木寛之の小説なので、彼が作詞をしたとておかしくはない。 さて、話の展開は書かない。読んでねぇ... 表紙は、グスタフ・クリムトである。クリムトについては前に書いた。それは、バックナンバーで読んでいただこう。 それにしても、耽美的だ。陶酔の表情と言ったら、何とも魅力的である。その絵に対抗できるかのように、松坂慶子もきれいだった。大根を持って、電話の宣伝している姿しか知らない若い人たちには想像がつかないだろう。 女性の一番いい年代は30歳代ではあるまいかと、私はいつも思う。20代前半を好きな人もいるが、人間的な魅力はある程度の年代を経ないと身に付かない。若さだけでは、物足りないとさえ思う。 さて、夏の風物詩に戻ると、なんと言っても、花火を忘れることはできない。これから毎週土日は、あっちこっちで花火大会が開かれるのだろう。 浴衣姿、団扇、線香花火、なんて言うもの風情がある。 夏はやっぱり、恋の季節なのだろう。若人よ、いっぱい恋をして、いっぱい失恋するのだ。 それが人生の糧になる。 でも、たまには、オジさんもそんな仲間に入りたいものなのである。 |
Data:TITL水中花(昭和54年6月新潮社刊) |
新潮文庫「い-15-19」、昭和57年12月25日発行 |
昭和54年→1979年 |