旅行記[2008/02/02・Vol.19 尾崎神社 in 金沢]




夜の金沢、さて何時まで...

 金沢駅に着いたのは、18時半過ぎだった。6〜7年に来たときに工事中だった駅はすっかり出来上がっていて、良い悪いは別として豪壮なものだった。京都駅や札幌駅、なぜか同じように思えるのは、私の発想の貧困か。しかし、この正面にでんと門がそびえるのはいかがなものか。確かに、加賀百万石的なのかも知れない。しかし、私が思い描く金沢とは全く違うものであった。
 さて、そんな金沢駅を後にして『尾崎神社』へタクシーで向かった。今回の旅の目的の一つは、夜の『尾崎神社-神門』なのである。一般に思い描く神社の門とは全く異なったものだ。そう言う意味では、金沢駅前の門のオブジェと同様か。そう言えば、この神門ができたときも賛否両論、と言うより異論の方が多かったという。この『神門』はかなり大きなもので、上楼にはギヤマンの灯りがともる。そのむかしは灯台の役目も果たしと言うが、日本海からこの『神門』が見えたのか。高い建物がない当時は見えたのかも知れない。しかし、神社には不似合いだと思うのは私だけではないだろう。しかし、真っ暗な中に、静まりかえった神社に年月を隔てたこの『神門』は全く似合わないわけでもない。そんな気がしてきたのは、しばらく眺めていたからか。神社にお参りし、歩いて香林坊へ。そうそう、その前に鳥居脇の横町を散策して見よう。何となく淋しげな感じの横町、しかし、目に付いたのは『味噌汁BAR』。金沢ならではなのかぁ。味噌汁で一杯、酒は呑めるね。だが、カラオケは...
 香林坊にある『ローレンス』は、五木寛之が直木賞受賞の電話を待っていた喫茶店である。当時のマスターは数年前に亡くなり、今はお嬢さんが跡を継いでいるという。お嬢さんと言っても、それなりの年齢であるはずだが。もう20時近いこの時間、私としては喫茶店で珈琲とは行かない。もう一つの夜の楽しみは『香箱』、ズワイガニの雌のことである。このおでんが食べたかったのだ。甲良に蟹肉を詰めおでん鍋でコトコト。まずは香りを楽しむのである。そこで、熱燗をぐびっ。かに肉をほおばって、さらにぐびっ。ところが、目的の『菊一』が見つからない。「おっかしいなぁ。この辺のハズなのに」。しばらくウロウロしたが結局見つからず、しかたなく目に付いた居酒屋に入った。カウンターだけ、親父とその息子らしい二人だけの店。でも、メニューは色々あり目移りしてしまう。結局刺身を三点盛りと能登くじらを頼んだ。三点盛りは、ブリにガス海老にしめ鯖。どれも美味しかったよ。熱燗が進むなぁ。鯨はさっぱりとした感じで、生ものは全て地のものという。お酒も地もとの天狗舞。すっかりいい気分になって、白鳥路ホテルへ。まだ21時少し過ぎで、もう一件も主計町の『えんや』へ行こうと思っていたが、一階にある温泉に入ったらすっかり眠くなってしまった。えんやの女将「若奈」さんは芸妓歴18年と言う。次回は是非だな。
 ホテルに入る前に寄ったコンビニで、飲み物とおにぎりを買った。やはり『香箱』が忘れられず、つい手にしてしまったが、これは明日の朝食べることにしよう。この部屋はこぢんまりとしたツインだが、お風呂も広いし調度品も品があるしなかなか良い感じ。もっともお風呂は一階の温泉に夜も朝も入りに行った。さて翌朝、『香箱』をよくよく見ると、やはり蒲鉾であった。そうだよなぁ、本物カニがこんなに入っているわけないものなぁ...
 と言うわけで、チェックアウトした翌日談は次の頁で。





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