旅行記[2002/08/04・Vol.08 葛城二上山]




うつそみの...

         うつそみの 人なるわれや 明日よりは 二上山を いろせとわが見む

  二上山とは、いろいろな意味で曰くつきの山だ。標高は大したことはない。雄岳(527m)、雌岳(472m)と小ぶりである。と言ってもアプローチをどこからするかで、山頂までの距離は異なる。いろいろな道はあるだろうが、まず当麻寺へ行ってみよう。近鉄の「当麻寺」と言う駅がある。「橿原神宮前」から準急で約15分くらいのところだ。駅からは、ほぼ一本道である。車がすれ違うのがやっとの道をまっすぐ西へ向かう。国道165号線を渡って、さらに歩くと東門に出る。お寺は南向きに建てられているのが通常である。ちなみに、私の田舎もお寺である。
 仁王様の山門(東門)をくぐると、すぐに鐘楼が見える。その先に中の坊があり、金堂・講堂が並ぶ。その奥に鎮座しているのが曼陀羅堂である。このお寺の本尊は當麻曼荼羅だ。仏像が本尊でないお寺は珍しいのではあるまいか。このお寺について書き始めると、二上山へ行く前にページか尽きてしまう。書きたいことはいろいろあるが、当麻寺についてはこのくらいにしておこう。
 さて、当麻寺を北門から出て二上山へ向かう。始めは民家の間を抜けていく。まだ二上山の山頂が見える。途中畑の間を抜け、釣り堀の横を通り抜けると、漸く山道らしくなる。日頃運動不足の私は、この辺ですら息が上がっていた。缶ジュースを飲んで一休みである。実際にはここからが大変だった。少し前に台風が通った後で、山道はかなり壊れていた。膝に手を付けながら、ふーふー、はーはーである。もう目が回りそうだと思ったとき視界が開けた。馬の背に出たのだ。ここから左へ登ると雌岳、右が雄岳だ。前方には河内平野が見える。ちょうど、売店が閉まる時間。危ういところで、飲み物を補給できた。本来なら、雌岳・雄岳ともに登りたい所だが、雄岳だけで精一杯だった。雄岳の頂上に登ると葛木神社がある。「岳の権現」と言った方がわかりやすいかも知れない。そして、ちょっと降った所に大津皇子の墓がある。
 さて字数に限りがある。なぜ当麻寺と二上山なのか、それは「風の王国」なのだ。当麻寺に関わる五木寛之の小説は他にもあるが、この小説がNo1だ。そこで、大津へ出張のおり足を延ばしたのだが、足は棒のようになってしまった。いずれ、雌岳にも登りたいと思っているが、さらに体力が落ちた今、思いだけが二上山を駆けめぐる。



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